ジャンルに縛られることなく、さまざまな展開を見事に繰り広げ語られるのは、世界中が対象である貧富の差、そしてパーソナルでありながら誰もが抱える悲運な人間の性のようなものでした。
ユーモアもあればホラーもあり、ケイパーものでもあれば、流れるようなモンタージュもある。みんなが言うように本当にジャンルに捉われない様々な展開を一切の無駄なくスマートに魅せてくれます。監督が人々は結果だけを見るがそこに至るまでの過程を見せることができるのが映画だと言っていたがまさにその通りだと思いました。だからこそここまで喜怒哀楽に富んだ作品が出来上がったのだと思いました。
誰もが楽しめるエンターテインメントであり、わかりやすい物語なのに、ここまで人に語らせる力を持っている作品として成り立っている点も現代においてヒットしたポイントだと思うし、本当に隙のない作品だと感じました。
貧富の差がテーマなのはもちろんですが、僕が感じたのは似た境遇にありながらも争ってしまう人の醜さ、時間や出会い方が違えば分かり合えたのに…。人生においてタイミングというのがいかに大事なのかということを改めて痛感させられました。
アカデミー賞も納得、おめでとう、そんな映画