アガサ

イソップの思うツボのアガサのネタバレレビュー・内容・結末

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

内気な女子大生が新任の講師に恋をした… がタレント女子大生のクラスメイトも同じ講師に一目ぼれしてしまった!
という導入部から、内気な女子大生の動向に含みをもたせ「恋している相手は本当に講師なのか?」とミスリードを誘うくだり。 
内気な女子大生の母親との絡みが現実でないことは、リビングルームに入った瞬間あからさますぎる変化を遂げる光量からも明白なので、あのまま内気な女子大生のサイコものになってくれたらよかったのに、物語は一気に現実離れした展開に。

復讐稼業で糊口を凌ぐ親子(血の繋がりはない)が実行した誘拐劇は、タレント女子大生一家と内気な女子大生一家の因縁をヤクザが調理して、残忍な富裕層にエンターテイメントとして提供するための食材だったのだ…! って盛ったねー盛っちゃったよねー盛りすぎて気分さめちゃうよねー 
で、富裕層の描写がまたやっすいんだよねー ウソでしょ…?!って言うぐらいやっすいんだよねー 百均で買ったみたいなお面つけて、女の人はキャバクラみたいなうっすいドレスで、カラオケ屋のパーティールームみたいな狭ーい部屋でモニター見てやんの。せつないよねー

母親の死の原因となった家族に復讐したい、「日本一の仲良し家族」をぶっ壊したい。なぜなら日本一の仲良し家族は私たちだったのだから。という気持ちはわかるけれど、そのために娘は相手方の父親と寝て、息子は相手方の母親と寝るって作戦としておかしいやろ。例えヤクザに提案されても断れよ。大学生の娘の体をどこぞのおっさんに差し出してまで実行すること違うやろ。

無職だったのにいきなり有名芸能人のマネージャーになれちゃうコネはどこから?!
お兄ちゃん、大学講師の資格はいつから?! 着けてても外してもたいして印象変わらん部分前髪ウィッグの必要性とは?!
お母さんが亡くなって、自暴自棄でパチンコ漬けになって、幻覚見始めて、ヤクザに借金取り立てられて…のくだりって時間経過どれぐらいなの?!数年?!数カ月?! ホントむちゃくちゃだよ。こんなので「は〜!ドンデン返されましたわ〜!」って感心できるかっつうの。

最後、殺されたヤクザをどうするのか、気絶した組員はどうなったのか、お金は返さず勝手に譲渡しちゃっていいのか、警察は来ないのか、ヤクザの仲間は来ないのか、不倫をしていた親と親を撃とうとした娘の罪悪感は釣り合えるのか。
数々の謎を残したまま、ランボーみたいな捨て台詞を残し内気な女子大生は振り返る。何もスッキリしないし何も解決してないけど、復讐は終わったそうなのでよかったですね。

亀が生きててよかった。


すごい細かいことですけども、俯瞰で撮るなら地面にリハーサル跡(なのか本番用の目印なのか)を残さないでほしいですね。この線の通りに走るんだろな…って思いたくないじゃないですか、映画観ながら。新鮮に受け止めたいんですよ、いつだって。たぶんあの俯瞰の画、どうしてもやりたかったんだと思うんですよね。だったらもっと丁寧にやってほしい。まあ、本作は終始この調子なので挙げてたらキリがないですけどね。
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