富田健裕

イソップの思うツボの富田健裕のレビュー・感想・評価

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)
2.3
騙されたと思って、騙されてみて!
そうは問屋が卸しません!

『騙される感覚をもう一度』との打ち出しのせいか、どうしてもどんでん返しがあるものとして作品を構えて観てしまった感がある。
騙されると分かっているから、こっちも「そう簡単には騙されないぞ!」となってしまう。起きる事象の一つ一つに先見の勘繰りが付き纏ってしまってなかなか作品に入り込めなかった。何せ登場人物たちが抱える問題がアンリアル過ぎた点もあって、そうなると観ている側の頭はみるみる冷静になって行く訳で、「いやいや、そんなことまでする必要なくない?」となってしまう。

もう少し素直に作品と対峙出来ていれば見え方も変わって来ただろうに、その点はかなり勿体なかったなあ…と感じた次第で。

しかし「これはどう繋がって、どう回収されるのかな?」とニーズを持たせているだけ、制作者としては一つの成功であって、この規模の作品が大手シネコンで続々とかかっている現象は素直に凄いと感じ、同時に幾ばくかの違和感を抱く。
何たって両隣のハコではエルトン・ジョンが人生賛歌を綴り、アラブの孤児が千夜一夜で王女の心を鷲掴みにしているのだ。
つくづく、映画にはたくさんの正解があるんだなと感じさせられた。

それにしても、一介の女子大生が銃で定点カメラを一撃した時は驚いた。
彼女奴、只者ではない。