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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.9
マカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネ監督の遺作。ハリー・グレイの自伝的小説をもとに自ら脚本を執筆し、構想14年、製作費3000ドルをかけて完成させた意欲作。
ニューヨークのユダヤ系ギャングたちの友情、愛、裏切りを、禁酒法の時代の少年期(1921年)と青年期(1931~1933年)、及び老年期(1968)の3つの時代を交差しながら描いたヒューマン・ドラマ。
「ウエスタン」「夕陽のギャングたち」と併せて「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」と呼ばれることもある。
144分(初回劇場公開版)
205分(劇場再公開版)
229分(完全版)
251分(エクステンデッド版)とあるが、今回は完全版を鑑賞。
原題:Once Upon a Time in America(1984)

1968年、35年ぶりにニューヨークへ帰ってきた老いたヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)が阿片を吸いながら過去を回想するシーンから始まる。
禁酒法が終わりを告げる頃、ユダヤ系ギャング仲間マックス(ジェーズ・ス・ウッズ)、パッツィー、コックアイの3人は、仲間である彼の密告により警官に射殺される。
ヌードルズは、彼らが禁酒法を利用して儲け共同管理していた金を取りに駅に行くが、ロッカー内のスーツケースに隠していた100万ドルは失くなっていて、彼は金を全く手にできなかった…。
少年時代に遡り、マックスとの出会いと友情、美しい少女デボラ(ジェニファー・コネリー)への憧れ、禁酒法を利用しての荒稼ぎの日々、殺人を犯し刑務所へ送られるまでが綴られる。
6年後の1931年、出所したヌードルスはマックスらと再会、裏社会に舞い戻り宝石強盗を働く。
やがて、マックスは連邦準備銀行の襲撃という無謀な計画を提案、実行に移そうとする…。

1968年…
・手紙
・墓地と鍵
・再会
・ゴミ収集車(血がない?)
・阿片窟と笑い

「好きだったのはあなただけ。でもあなたは私を縛るでしょ」

「俺は高官も政治家も信用しない」

青年期以降、デ・ニーロとジェームス・ウッズの二人を軸に、女優となるエリザベス・マクガヴァンが絡んで物語が展開するが、三人のなかではデ・ニーロが素晴らしい演技を見せる。
成長したデボラ役のエリザベス・マクガヴァンは、少女期のジェニファー・コネリーに比べると少し"ヨワイ"(魅力が乏しい)。
女優では、デ・ニーロらに襲撃される宝石店の妻役、チューズデイ・ウェルドも頑張っている。
レオーネ監督はシークエンスを巧みに繋ぎ、過去から現代まで交差させながら次第に事実を明らかにする力強い映像で、長時間でも観客を飽きさせない。
エンニオ・モリコーネの楽曲も、デボラのテーマ「アマポーラ」など、文句なし。
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