TAMU

あなたの名前を呼べたならのTAMUのレビュー・感想・評価

あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)
4.0
原題は『SIR』。本編中でも多く出てくる「旦那さま」を表す敬称。
主人公のメイド、ラトナは旦那さまにたいして挨拶だって「ナマステ サー」と言っていた。

農村出身でデザイナーを夢見るメイド ラトナと金持ちの息子である旦那さまアシュヴィンの切ない恋の物語。

若くして未亡人のラトナ。宗教上?未亡人でい続けることが村のしきたりであり、妹の学費のために住み込みのメイドをしている。

本作のプロモーションHPの監督インタビューにも記される通り、どうやらインドでは富裕層の家には今でもメイドはいるらしい。

映画で描かれる旦那さまの高級マンションにあるラトナの部屋は3畳ほどの空間で奥にはシャワールームがある。
そういう間取りがあるんだね。
シャワーも別なのか、と思ったり。描かれてないところでトイレは別なの?とか、旦那さまのパンツとか洗ってんの?とか気になるw

それでも素敵な点は沢山あって、『この世界の片隅に』のすずさんのように、ラトナは身の上を受け入れて、それでも健気に生活する姿を暖かく映し出す。

特に旦那さまの部屋から壁を隔てて映し出すラトナの部屋、ラトナのいるキッチンといった対比はセリフがない分、こちらがヤキモキ考えて非常に印象的。

ラトナが旦那さまのために作る彩り鮮やかな食卓や、少し寂しげにキッチンの片隅でしゃがんで食べるプレートにも興味津々。
ラトナが手で食べてるあのプレートを自分も手で食べてみたいと思ったりw

あと紀行番組のように各所を映し出すムンバイの街並みが楽しく、高層ビル群と活気ある市場や故郷をつなぐバスなど、思わず訪れてみたくなる!

社会階層が根強く残るインドで、それを批判する側面がありながら、声高にならず、これを見た方々が、少しでも自分の身の振り変えてみることができるような、優しく包み込むような映画でした♪
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