ろ

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのろのレビュー・感想・評価

5.0

「彼はこんな性格ブス、眼中にないわよ」
パチン!
「私の親友に何てこと言うの。今度自分を卑下したらボコボコにするからね!」

高校卒業を目前に控えたモリーとエイミー。
誰よりも努力してきたはずなのに、遊んでいた同級生もちゃっかりいい大学に受かっていると知り愕然とする。
勉強一筋でやってきたのに!
それ以外のたのしみを捨てたなんてバカだった!
ルールも破らずじまいで終わっちゃうじゃない!
「高校最後の思い出作りよ!人生の物語を変えるの!」
二人はひと晩で高校生活を取り戻そうと、卒業パーティーに繰り出すけれど・・・

中学時代の友人と音信不通になって1年が経つ。
阪急百貨店のレストランで3年ぶりに再会したときに手紙をくれた。それきり会えなくなるなんて思いもよらなかった。
ひろちゃんが岡山に行ったときのことを話してくれたでしょう、その時に教えてもらったお店でこの便箋を買ったんだよ。そう手渡してくれた手紙には3年分の謝罪と感謝が綴られていた。
もう私のことなんて忘れているだろう、連絡したいけど勇気が出ないや。
憤りを感じながらも寂しくて恋しくて、お互いがお互いのことを想い続けて過ごしていたのだと初めて知った。

ようやく辿り着いたパーティー会場でモリーとエイミーは大喧嘩する。
「あんたは何でも勝手に決めて、私を巻き込むじゃない」
「そっちが何も決めないからよ。いつだって私に任せきり。背中を押さないと一人じゃ何もできないじゃない」
「わたし決めたのよ、1年間ボツワナに留学するって」
「・・・ずっと隠してたの?」
もっとたくさん喧嘩すればよかった。
思い切りぶつかっても壊れなかったのに。
彼女を信じる気持ちは疎遠になっているときほど増していくような気がする。

ショックを受けるモリーに捧げる、あと10分黙ってたら病院に連れていくよソング。
着替えた姿を褒めちぎり合う「ありえないぐらい美しすぎるじゃない」「息が止まっちゃうんですけど!」
校長先生の運転する配車(リフト)の後部座席で、これも勉強勉強と言いながら見るセクシーなドキュメンタリー(ポルノ動画)。
ここぞという時に発動させる二人だけの合言葉‘マララ!’
「寂しいけど楽しかったね。もう戻れないけど、いい時間だった」
本音を戦わせても、別れがつらくても、また笑いながらパンケーキを頬張る。そんな日がいつかきっと来るよね。

「あんたは強くてクールで賢くて美しい。学校一どころか地球一ね」


( ..)φ

卒業祝いにクセ強料理を用意してくれるエイミーの両親。
突然始まる脳内ミュージカル。
ドラッグ漬けのイチゴを食べてバービー人形になってしまう二人・・・
テンポよく進むストーリーとセリフの掛け合いがとても心地よくて、たくさん笑ってちょっぴり泣いて、友人との学生生活を懐かしく思った。

私たちは中学二年の一年間しか同じクラスじゃなかったし、高校も大学も違う道を進んだ。
楽しいことも嫌なことも、お互いの知らない葛藤もたくさんあるだろう。
それでもたった2時間会うだけで、私たちはまた学校の帰り道を並んで歩いたあの頃に戻ることが出来る。
校門を出てすぐの曲がり角で、時間が経つのも忘れて毎日立ち話をした。
そのとき何を話していたのか、今はもう覚えていないけれど、とにかく楽しかったという想いだけはくっきりしている。

雨の中アトラクションを回った、修学旅行のディズニーランド。
スタバでテイクアウトしたドリンクを手に、家族との確執に泣いた、冬のうめきた広場。
話したいことも共有したい想いもたくさんある。
私の手元には彼女に宛てた切手のないおくりものが、また一つ増えていく。


( ..)φ

家以外の場所で映画の感想を書いたことがなかったのだけれど、今日は就労支援の事業所でワードに打ち込んでみました。
2時間使って形にしてみると、な~んだ家と同じことが外でも出来るじゃん、とホッと力が抜けました。

フィルマークスに投稿することで誰かに文章を読んでもらっているけれど、顔と名前を知っている人に読んでもらうのは母を除くと初めてなんですよね。
ドキドキと恥ずかしさが交差するこそばゆい感覚。
でも私が一番大切にしている自己発信だから。
私のとっておきをどんどん披露していこうと思います。

(2021年5月9日・11日 鑑賞)
ろ