垂直落下式サミング

呪怨2の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

呪怨2(2000年製作の映画)
3.5
学校に来ない俊雄くん。呪怨ハウスに家庭訪問をするクラス担任。一作目のクライマックスをダイジェストで繋げたオープニング。1をみていなくても安心の親切設計。
柳ユーレイは、妊娠中の奥さんに「あの子ってさ…」と続けようとすると、「なんか気持ち悪い子だったよね」と遮られてしまう。自分のモヤモヤを聞いてもらいたいし、自分と同じように不幸な人に共感してほしいのに、相手からそれを絶ち切られるディスコミュニケーション。霊魂に触れるシーンを経ての惨劇。血まみれ電話ボックスからの「これ女の子ですね」というセリフまで、前作の一番イヤなところを反復して、いちいち鬱屈を強調してくる。
一作目から続いているけれど、違った意味合いの編集とはいえ、前に一回みた場面をもう一度使い回すのがかったるいし、タネ明かし然としすぎなわりに、新たな情報の密度が薄い。
伽耶子軍団が学校に襲撃するシーン。白ワンピースで這い寄ってくるのが、ちょっとエロい。女優さんのスタイルがよくて、お尻がぷりっとしてて、太ももが健康的すぎて、なんか世界観が背徳的。雨の校庭、水も滴るいい女がゆーらゆら。
ホラー表現も、露骨にジャンプスケアとか、意味なく怖がらせる要素が増してるけど、そのぶん俗っぽいエモーションが強化。朝食に文句言う男はフライパンで後頭部一発!
エポックメイキングな表現を提示した一作目とはうって変わって、早くもホラーがギャグ化。ホラーとしての格を自ら意図的に落とす方向性によって怖さは減退しており、二作目にしてシリーズのなかで一番どうでもいい部類の作品にはなっている。
もう手の内が割れたからと、さっさと安売りしすぎたのは悪手だったように思う。店仕舞いには早すぎる。もう少し頑張ろうよ。これがシリーズの陳腐化に拍車をかけることになった。皮肉だけど宿命ではある。以後、早くも日本発の恐怖表現は、常に「時代遅れ」を意識していなければやっていけなくなっていく。
この作品で、伽椰子さんの旧姓などパーソナルな情報が判明。旧姓・川又伽椰子。佐伯剛雄と結婚。男児を出産。享年28歳。血液型B型。主婦。