うみぼうず

罪の声のうみぼうずのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.0
川と橋が印象的。
川に沿って歩いている場面、橋を渡っている場面、人は映らず川と橋だけの場面など、時間の流れと過去のと現在を繋ぐかのような描写は効果的だと感じた。

ただ説明台詞の多さが気になる。
原作が小説とのことで納得。400〜500ページくらいの中で描写されるなら入ってくる情報も、画面上でセリフのみで伝えられると右から左へ出ていくことも多く、ラストの真実が全て明かされる所でようやく登場人物の動きなど含めて理解できた。

宇野祥平さんの演技は心にくるものがあった。総一郎くんの人生は切ないし真由美さんを思うとやりきれない。逆になんとも言えない関西弁と、小栗旬さんの演技が少し気になってしまった。「演じている」感がありありとあるのは仕方ないのかなぁ。

登場人物が多くそれぞれの描写が単発で入れられて少し共感しづらい。『声』の持ち主達の苦悩や苦労は、もっと深掘りしてもよかったのかなと思う。ギンガ萬堂事件の直接の被害者や間接的な被害者、工場閉鎖されて従業員が解雇されたと言っていたが、もう少し触れることで悩みが伝わってくるのでは。
また『声』のせいというより単にヤクザ絡みのせいではないか、との感が拭えない。小説ならこの辺もうまく描写できるんだろうが、150分の映画とするならフォーカスすべき場所をもう少し絞ってくれた方がよかったと思う。
原作は読んでみたくなりました。
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