グリコ森永事件に題材を取った作品。アマプラで視聴。最後までほぼノンストップで見入ってしまった。同事件を題材にした作品にはレディ・ジョーカーも読んだことがあるが、こちらの方がひょっとして現実に近いのではないかと思いました。ただこちらは原作小説は未読です。歳なので長編小説は読めないので、映画だけにしたいと思います。
全体的に学生運動の時代を引きずった展開で、あの頃のことは私は知らないので、このようなことがあったのだと思いました。そしてやはり複数犯で暴力団もからんだ事件展開になり、テープに声を吹き込んだ女子高生が悲惨な最期になるところは、本当に痛ましいと思いました。またその弟の逃亡生活は断片的にしか出てきませんが、想像に難くないつらい日々だったのではと思いました。主人公のテーラーの息子もテープに声を子供の頃に吹き込みましたが、彼らとは明暗の別れる人生で、実社会の多様な人生模様を感じさせて、茫漠とした気分になりました。最後にイギリスに逃亡していた犯人の一人に、新聞記者が問いかける場面は、この映画の白眉だと思います。
犯罪ものですが社会派の人間ドラマで、ハラハラドキドキの推理サスペンスものとは異なりますが、見ごたえのあるいい作品だったと思います。