tetsu0615

パブリック 図書館の奇跡のtetsu0615のネタバレレビュー・内容・結末

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

うーん、悪く無かったけど…映画として物足りない?いや違う…

図書館という舞台設定の妙とホームレスや人権、格差などの社会問題を盛り込みつつもそれほど重くなりすぎずに作り上げられた良作。

アメリカにおけるホームレスの社会問題とか色々知ってたりするともっと色々深く映画を見れた気がするし、最後の結末にも若干…という気持ち

マスコミの偏った報道(しかし、それを利用した書籍引用でのカウンターも気持ちが良い)や市民の権利と公共施設としての立ち位置など社会問題を扱いつつも、重くならないようにクスリと笑えるような場面もある。

多少のツッコミ処や??と思う場面もあったが、彼らの行く末にドキドキしつつ、彼らの声がすぐに忘れ去られ無いように届いたかもしれないラストはどこか清々しい(あの姿だけどさ)


主人公スチュアートは最初は自己主張が強くなく、日々を平穏に過ごそうとしているよう
な感じだったのが、ホームレスの彼らの強い意思に運命を共にする過程での表情の変化が見てとれるのも良いし、ホームレスの明るさも魅力的。
平和的デモが検事の発言やマスコミによって次第に過激なデモへと変えられていく様は情報社会への警鐘であると共に我々一人ひとりも情報に踊らされて、偏見を持ってしまっていないかと考えさせられる。

主人公に関しては、正直隣人?との急なラブ?な要素とかどうだろうか?とは少し思った。物語上、外部に協力者は必要だったがアレで良いのか?とも思ったり…

他の人のレビューなどで何名かが言及していますが、選挙戦の話や刑事の息子の話など話を広げた割に拾われなかった部分やマスコミの取材に対する主人公の態度などの行動の意味合いなど腑に落ちない部分もあったのでゆっくり消化しながらレビューを書きたい。

ホームレスのシェルターが埋まっており、そこに避難できない人々がいる。端的に社会問題を描いており、市長候補の検事デイヴィスなどはそこを理解してなさそうな辺りは、政治批判的要素を盛り込んでいると言えるし、社会の実情を描いているとも言える。デイヴィスがホームレスやスチュアートを過激派のように発言したのも同様だ。
マスコミの偏った質問に対し、冷静に本を引用して訴えかける場面、図書館という場所、そこに救われた存在のスチュアートが今の実情を見事な引用で自分の言葉として伝えた場面ではある(文脈という質問もあって)が、まずは館内の状況を冷静に伝えようとは思わなかったのだろうか?レポーターが彼の過去を暴き騒ぎ立てそうな場面、本の引用の意図すらねじ曲げられる心配は無かったのだろうか?幸いにも支援物資が集まる結果には繋がった(そういえば触れられないまま物語は終わったな)がちゃんと"声をあげて"説明を一言もしてないような気がする…

ラストの裸での合唱と投降もそうだ。
自分達は武装をしていないということ、裸の心で、公共的に向き合っているということを示す、掲げた声を記憶に残すというような意味合いなのかもしれない。この行動のインパクトと彼らが声をあげて図書館から出てくる様は悪くないのだが、やりすぎにも見えてしまう。
他の人も言及しているが女性がいないのも違和感と思える。
(冒頭のホームレスと繋がるとはねぇ…)


書いてみて少しわかってきた。良い物語でありそこに感心した反面、どこか"物語の為にある物語"のような気がしてしまったのだろう。
(物語には絡まないが)息子を探している刑事とちょうど図書館にいるその息子、いかにもな市長候補の検事、スチュアートの隣人との関係性や本の引用、そしてラストの裸での合唱と投降…
キャラクターや彼らの行動、設定がどうにもこの物語を成立させる為の動きに見えてしまうような…そんか違和感を覚えた感じ。
勿論、このレビューを書いている僕自身が読みきれていない文脈や内容もあるとは思うが、見てて良いと思った反面どこか違和感というかツッコミ処を覚えなくはない映画でございました。

いい話なのは間違いない
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