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パブリック 図書館の奇跡のおはうちのレビュー・感想・評価

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)
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超絶。これが意思表示、クライマックスの最高さ加減、お前ら最高だよ。ラストショット付近、がらんどうになった図書館を映すカメラ、残されたピザ箱、空になって響き渡る図書館を渇望する声、知を敷き詰めた空間に響く知的好奇心が、わたしの身体にも響いた。

リポーターへの返答で手元にあった本を引用するシーンに感動。かつて本に救われた自分が、本から与えられた知恵でインタビューに返答する。自分を形成した物で世間と対峙できる、自分を表現できる、対話できる物を持っている事実が救い。

観ていて苦しい。主人公が罪悪感に苛まれる様子が辛い。男子トイレで金を渡して自分達で泊まるところを見つけて欲しいと、せめての善意が刺さる。個人が救える人数には限りがある、公共で弱者を救える器が欲しいが望めない状況、善意を通せない困難さ、圧迫。

冒頭に図書館で登場する全裸中年の絶唱は、自由の謳歌を体現しているが、周りは困惑するし強引な手段も出来ない状況、足蹴にして踏み込めない領域を再利用するのに燃えるしかないよ。非暴力の肉体言語、自分達が人間である証明、頭がハジけてしまいそう、脱帽。

外で5分間、横たわるの本当に滑稽だなぁと思いつつ、凍死する寒さが視覚的には見え辛かった。目に見えて吐息が白くない。5分間の滑稽さも切り詰めて早めに立ち上がる流れだったから弱い。フェイクニュースを流した落とし前、あるいは反応も無いのも弱い。市長選の結果は?

レーザーアイさんに泣いた。あまりにも不憫でしょうがない、勝手にどうしようもないと判断していた。あるアイテムを装着した瞬間、世界がクリアーに見えている様子に私は潤んだ。振り返って本を読んでいる姿を思い出し溜息が出た、気付いてやれなくて悪かった。
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