まぴお

おとうとのまぴおのレビュー・感想・評価

おとうと(2009年製作の映画)
1.5
【家族との対話】

人と人のコミュニケーションって本来、顔と顔、目と目を見て話すのが
基本だと思ってるんですね。でも今の家族や知人のやりとりって携帯いじりながらとか
LINEやメールでテキストで伝えるだけ。一方的なんですね。すぐに反応が見えない。
この監督はそんな所作をすごく大事にしたいんだなぁというのが伝わる。


でもなぁ...

冒頭から姪の結婚式を酔っ払った勢いでぶち壊す鶴瓶の演じる鉄郎にイライラ。
いつの世も親戚や兄弟に迷惑かける人いる。とにかく「おとうと」である鶴瓶に一向に感情移入ができない。人に迷惑ばかりかける。不快な行動ばかりとる。酒を飲むのはいいんですよ。でもそれで自制が効かないなら飲むのは控えてほしい。

そしてさらなる違和感として
この周りに迷惑をかけまくる「おとうと」の人物像が正当化されていること。
ダメな弟だけどしょうがないよね。愛せるよねってこの作品は謳ってる。
いやもちろん愛せる部分を描写してくれるのならいいんだけどそれが一切ない。
一切ないんですよ?人間ひとつくらいいいところがあると思うんですけどそれを見つけることができない稀有な例ですよ。それを姉である吉永小百合がとことん甘やかすわけですよ。
まるで駄目彼氏を甘やかすだめんず・うぉ~か~にでてくる女性たちのよう。


身内にこの人物像にかぶる人がいたので
そういった意味で二重に感情移入できなかったんだろうなぁ。

そしていまこの作風でよく作ったなぁというのが正直な感想。
これが30年、40年前の作品ならわかるけどいささか古臭い。キャラクターや台詞、何をとっても。

調べてみると「男はつらいよ」シリーズの寅さんもこんな性格だとか。
「男はつらいよ」シリーズは一つも観たことがないがこんなにイライラさせられるなら
観る機会はないだろう。

そういうわけで山田洋次監督の作品は自分的には当たりハズレが大きくてこの作品は
大ハズレといった形となってしまいました。

568本目
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