たく

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のたくのレビュー・感想・評価

4.2
楽しかった!映像も物語も圧倒的に情報量が多すぎて、一回観ただけじゃ足りない感じ。フランスの架空の都市で発行されてたフレンチ・ディスパッチという雑誌の最終号から敏腕記者達が執筆した3つの記事をオムニバス形式で描いてて、それぞれ図らずもカリスマとなった人物が取り上げられる。常連のビル・マーレイを始めとして豪華キャストが勢揃い。画面に溢れる人、人、人の賑やかさが楽しく、ちょっとフェリーニ作品を観た時の感覚を覚えた。

ウェス・アンダーソンの様式美と言えるカメラワークに加えて、アスペクト比とスクリーンの空間を自由自在に操りながらモノクロとカラーが入り乱れる映像の抜群の鮮度の良さに酔いしれる。静止した空間が紙芝居みたく次々と場面展開していく複雑な絡みに、この監督のケレン味ある演出手法が行き着くところまで行き着いたように思えた。エンドクレジットも見たことないような文字列の配置で、最後の1秒まで楽しませてくれる。普段エンドクレジットの途中で席を立つ人もこれは立てないんじゃないかな。

英語とフランス語が入り乱れてるのに何故か互いに意味が通じてる会話が主義主張の対立の象徴みたくなってたのが印象的。3話目のアジア系のシェフが自分が異邦人であることに対する諦めを抱いてるところとか、人間の滑稽さと悲しみを滲ませてるように思えた。

1話目のベニチオ・デル・トロの存在感が良いんだけど、レア・セドゥ演ずるミューズの身体を張った堂々たる迫力がすごい。2話目のティモシー・シャラメも半分くらい上半身裸で大サービス。
たく

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