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パラダイス・ネクストのsingerのレビュー・感想・評価

パラダイス・ネクスト(2019年製作の映画)
2.5
冒頭から、なんかかつての香港ノワールのような雰囲気があって、
“これは、結構好きかも!?”と、思いながら期待してましたが、
一向にストーリーが乗ってこなくて、なんだかよくわからないまま終わった感じでした。

台湾の都会の喧騒や、大自然を背景にした、印象に残るカットやシーンもあったし、豊川悦司、妻夫木聡を始めとするキャスト陣も、生き生きと映ってたように思います。
でも、登場人物たちのキャラクターの輪郭が、あまりにぼやけていたので、
今ひとつ感情が入り込む余地が無かったのが残念でしたね。

豊川悦司は、なんかやさぐれ度が、先日観た「ラストレター」に酷似していて、
思わずスピンオフかとも思わされましたが、
見た目の感じはワイルドでカッコ良さ気だったものの、
然程、深みの無いキャラクターで、存在感が掻き消されてしまってたように思いました。
妻夫木聡も、「怒り」の頃のような軽くて抜けた感じの役柄でしたが、
こちらも人物描写が余りに少なくて、せっかくの良い演技も、キャラの薄さで、
想いがしっかりと伝わって来なかったのがとても残念でしたね。

でも、ニッキー・シエは凄く綺麗で、
日本人には出せない独特な妖艶さが、表情や仕草に強く現れていて、とても印象的でした。
彼女が登場してから、一気にストーリーが転がりだしたように感じたし、
この作品を、唯一、着実にリードしてたと言っても過言では無いと思いました。

後、坂本龍一のメインテーマも、良かっただけに、
ストーリーと、人物描写という、映画の肝となる部分の薄さが、
とにかく残念に感じられて、とても惜しいなぁと思わされる作品でした。
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