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パラダイス・ネクストのKUBOのレビュー・感想・評価

パラダイス・ネクスト(2019年製作の映画)
3.6
え? 妻夫木聡と豊川悦司が出てるこんな映画あったんだ。

あれ? 邦画? どうやら妻夫木聡と豊川悦司が出てるけど、台湾のスタッフを使って台湾で撮った、ほぼ台湾映画。

訳ありで台湾に流れてきている何か過去のある二人の男。豊川悦司は刺青を入れた無口なヤクザ。妻夫木聡は何か重要なことを知っているチャラいチンピラ。

このトヨエツがしゃべらない! 妻夫木聡と画面に写ってる時間は同じなのに、しゃべり続ける妻夫木くんと比べて、トヨエツは映画全部見たって一言二言。いや〜、台詞覚えなくていいから楽な撮影だったろうなぁ、というのは冗談だけど、そのくらい豊川悦司の演技は台詞抜きの表情だけの演技。渋すぎ!

で、このむさ苦しい訳あり男二人と、なぜかかわいい少女がひとつ屋根の下で暮らすことに。あり得ないでしょ。二人はヤクザもんだよ、と突っ込みを入れたくはなるけど、まあ、これで映画ではよくある男二人と美少女という組み合わせになりました。

この後の雰囲気がとっても好き。誰も働いてないし、食事シーンもなくて、生活感ゼロなんだけど、台詞のない長回しとかとても映画らしい。最近の映画、特に邦画は何から何まで台詞で説明しちゃうけど、映画って何もしゃべってないけど後ろ姿で語ったり、ムダに長いシーンがムダじゃなかったり、そういう映画らしい匂いが素敵。

ただ、ノワールだとは思ってましたよ。まあいろいろ死ぬだろうとは。でも、この展開はヤダな〜。かわいそ過ぎ! 妻夫木くんといっしょに泣きそうでした。

そうそう、妻夫木聡、最近、役柄でチャレンジしてるなぁ。心優しいチンピラが似合うかどうかは別にして、レッテル貼られた「良い人」役から脱皮しようとしてるのがよくわかる。私、妻夫木くん、応援してます。

半野喜弘という監督さんの作品は初めて見たが、普通の邦画とはちょっと違う、いい感じの映画らしい映画だった。
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