低予算を逆手にとって作品制作のバックグラウンドを思うと妙に心が温まる傑作。演出も演技も脚本も、おまけに驚くべきかなアクションもレベルが高い。いやそれは予算的な限度が見えてしまうところも多々あるが、映画製作組の熱量がそんなものは補ってしまうのだ。
おそらく衣装なんかも全部自前だと思う。キャスティングもメインどころを除いては知り合いの有志で賄なっていると思われ。
同じような環境で制作された「カメラを止めるな」の陰に隠れてしまっているが、今作は今作でなかなかに傑作だ。
なるほどブロックバスター作品ではそれこそハッキングの画面の制作費が馬鹿にならないだろうし、ご立派な大仰なものを作ってしまうと思う。今作は監修が、まさにハッキング関連NGO。いくらでも既存の画面が使えただろう。
「カメラを止めるな」の製作環境込みの応援のされ方は気の毒にもあまりにフューチャーされすぎて世間的には少々鼻についてきたところ。
本作のようにしっとりとマイナーのままでいてくれると愛すべき対象として長らく残っていく気もする。
されど隠れた名作にしておくにはもったいないです。