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シライサンのamのレビュー・感想・評価

シライサン(2020年製作の映画)
3.7
"恐怖と笑いは紙一重"をこれでもかと言うくらいやられるので鑑賞中はゲラゲラ笑って突っ込み入れながら見たけど、帰宅中の夜道で「何かここ、シライサンが出そうだねww」と言われたら「ねぇそういう事言わないで!?!!💢💢💢」とキレるくらいにはしっかりビビってます。


(以下ネタバレ含)


「異様に目の大きい女」という言葉から想起する恐ろしいイメージに比べたら実物はなんとも黒目がちなキモカワ系。必ずチリーン☆と予告した上、かなり遠くからクラウチングスタートしてくれる良心的なシライサン。
とか茶化しつつも、「髪の長い不気味な女にロックオンされてどんどん距離を詰められる」なんて状況は問答無用でゾクゾクするし、不意に足取りがガクッと揺らぐとこ(病院の廊下のシーン)では『回路(黒沢清)』のトラウマスイッチまで押されちゃってヒエェェ〜〜(泣)だった。

とにかく目を合わせていれば近寄って来れないというルール(?)を利用した攻防戦の数々がいちいち楽しい。
ローテーションで見張ってればセーフというシステムに笑ったし、2時間近い地獄のにらめっこの末 逃げ延びた猛者がいるのも超笑った。(あのにらめっこ王者が何故2回戦で敗れてしまったのかかなり気になる。)
シライサンはシライサンで、手下(???)の幽霊との連携プレイや秒速五センチメートル方式のアレを駆使して対抗してくるからアツい。

ドラマパートのトロくささはありがちなポンコツJホラーっぽいけど、上記バトル(?)の怖オモ感とか染谷将太の存在感とか、陳腐に見えた恋愛要素が意外に切ない余韻を残したりとか、何と言ってもエンドロールで発覚するアレにも唸らされたし、意外とフックが沢山散りばめられていて心に残る映画だった。

そう、心に残ってしまうのだ。
忘れたいのに…忘れなきゃいけないのに……



追記
「身近な人を亡くすのはとても辛いが、たった一つ良い事がある。それは自分の死が怖くなくなること」
的なめちゃくちゃ良い台詞、良い台詞すぎて使う映画間違ってないか?と思ったくらいだけど、作中の台詞の中で一番血が通っていて好き。
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