ぺんじん

初恋のぺんじんのレビュー・感想・評価

初恋(2020年製作の映画)
4.5
『初恋』なのにヤクザ映画。ヘンテコな物語と思いきや、結構骨太な映画でビックリ!
描かれているのは「ヤクザの世界」が廃れた今の物語。ヤクザ同士でも昔のようなドンパチは無くなり、全て話し合いで解決。また中国系マフィアが劇中で話しているように、高倉健が任侠映画で見せた「義」の精神もほとんど見られない。そんなお金&お金にまみれた「ヤクザの世界」。そこに起きた一つの事件、そしてそこに巻き込まれた1人のボクサーと少女によって事件は大きく、そして変な方向へと動き出す。
『初恋』というタイトルだけども「恋」とか「愛」とかはほとんど描かれてなくて、映画を通じて描かれるのはとにかく「仁義」。死を目の前にした主人公はヤク中の少女と出会っても、ヤクザに狙われてもどこか淡々としているのだけども、ある事をきっかけに自分の思いを爆発させる!
そこにあるのはとにかく仁義!少女を守るという筋を通すため、自分の拳一つで敵に立ち向かう!生首ゴロンとか、フラッシュバッグのシーンとか、アニメーションとかヘンテコなシーンはあるけども、描かれているのは仁義を巡る結構骨太な物語。クリント・イーストウッド『許されざる者』のように、一つの時代の終わりを描いたハードボイルド。剥き出しの暴力はどこか滑稽だけど、どこか虚しい。
主人公たちが恋に落ちる瞬間とかはほとんど描かれて無いので、これが恋愛映画かというとちょっと微妙だけど、最後の最後に挟み込まれたシーンは恋愛映画への目配せも感じられて、ちょっと唐突だったけどなんだかホッコリした…優しい後味…
役者たちもみんなギラギラで良かった。ベッキーの演技もサイコパス的な演技じゃなくて、本当にマックスまで怒ってるヤバい奴を全身で演じていて良かった!途中からダメダメになる染谷将太と大森南朋もグタグタなのがリアルで良かったし、最近三枚目が多かった内野聖陽も今回は渋めの演技&肩パッドデカ目で良かった!
アニメーションのシーンは予算無かったんだな…ってなっちゃったけど、ホームセンターでのバトルシーンは大興奮で最高!
三池監督作品初めて見たんだけど、とても良かった…過去作も観なきゃな…『テラフォーマーズ』は辞めとこう…
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