うみぼうず

パリに見出されたピアニストのうみぼうずのレビュー・感想・評価

4.0
勝手に1960年代くらいが舞台かなぁなんて思っていたら全く思い描いていた内容と違って、すごく新鮮な気持ちで観れた。

主人公のマチューの表情がらどこか物憂げで少し陰がある感じが思春期の青年をうまく表している。ぶつけようのない怒りや、声は抑えていながらも心からの叫びがよく伝わってくる。すごく囁き声が印象的。

また、演奏中の眉間の皺がすごく感情表現豊かに感じられて、まさに音楽そのもの。特にコンクールでは全てマチューの顔が逆光で映されていてすごく幻想的にも見える。
そしてずっと市原隼人さんぽいなと。

周囲の人間も基本はいい人たちで、ピエールや女伯爵も最初は遠いながらも段々と心の距離が縮まってきて、自然と応援したくなる。
悪く言えば「よくある」サクセスストーリーだが、メインの役者さんの演技力とマチューの演奏力、そしてパリの風景により飽きずに観ていられる不思議な映画。ケバブを食べたくなる。

「天才は子供の心を取り戻した大人」
「あなたはピアノを弾く前に一度手を止める。敬意を払うみたいに」
うみぼうず

うみぼうず