コーディー

幼い依頼人のコーディーのレビュー・感想・評価

幼い依頼人(2019年製作の映画)
4.0
絶望の淵で声を振り絞っても大人達には届かない。悪魔の如き親であろうと子を引き離すことの厳しさ、そんな法や体制に手をあぐねてる間に起こった僅か10歳の少女による実弟の殺害自白。母を感じたいと言う無垢な姉弟の想いを微塵も尊重できない社会や無知でいる個人の罪を突き付ける衝撃作!

実話を基にしてるけど、〝てめえの血は何色だ〟って南斗水鳥拳で切り刻みたくなる程の虐待描写、壊れた人間の激化する残虐性をすぐ傍にある現実として訴える。もちろん単に介入せよ!なんて安い正義や改心で光を描いてないけど憤りや哀れみだけでは何も変わらない事も痛烈に。まずは関心への切実さが伝わる。

やや都合良い展開もあるけど腰掛け程度で就いた児相での姉弟との交流も丁寧なので後半は本当に辛いし、少女の今にも消えそうな心を迫真で見せるチェ・ミョンビンに何度も泣かされた。出来る事の限界と真っ当の狭間で奔走するイ・ドンフィの幼き心に照らされ目の色が変わっていく様子にもやっぱ熱くなる。

それにしてもユソン演じる継母の憎々しさったら怒りで震えそうになった。彼女のなぜ?についてはほぼ触れてないけど衝動とかの類でもなく虐待でのみ保ってるような異常さ。けど似たような事件が後を絶たないしケースは多様やろけど均衡が尽く崩れると虐待に限らず人は悪魔になる。やっぱ韓国映画の描写は容赦ない。