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はちどりのmimicotのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.7
小さな翼を羽ばたかせて空へ飛び立つはちどりのように、14歳の少女ウニが憂悶し、もがきながら成長していく物語。

当時の韓国では、新たな社会に変化しつつも、家庭や学校では古い風習が根強く残っているようでした。家父長制、男女差別、学歴社会などの社会的なテーマを背景に、思春期のウニの心の変化と成長を丁寧に描いています。

ピリピリした空気や孤独を感じる家庭では、安らぐ居場所もないだろう。入院のほうが楽しいと思う気持ちがわかります。
ウニとジスクがトランポリンを飛ぶシーンがいい。輝く陽射しを受けて日常から解き放たれ、自由を得ているようだった。

自分の内面と世間との折り合いをつけることに苦悩する年頃。あまり感情を表に出さないウニが、心を開くことが出来た漢文塾のヨンジ先生との出会いは宝物。
ウニの心の声を聞いた時、アドバイスするのではなく、心にそっと寄り添う視線、間、空気感..歌に感動しました。きっと同じような思いをしてきたからわかるのだろう。

母親がウニを見つめるシーンも感動的。
とても静かで感慨深い作品でした。
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