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はちどりのjozeのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.9
14歳の繊細さや心の揺らぎは、国籍や性別が違えど何も変わらないんだなあと、同じ頃の自分と擦り合わせるように、ウニの日常を静かに見つめてしまう。閉塞感のなかで密かな楽しみを見つけ、手探りでアイデンティティを形成する姿は、俯瞰で見るからこそ、なんだかドラマチック。

これが初長編映画とは信じられないキム・ボラ監督。138分は正直長いけども、譲れないシーンやこだわった演出には、隠しきれない熱量を確かに感じとれた。

主役が14歳少女で、2時間越えの長尺は容易ではなかったはず。エンタメ性の高いものは勢いでなんとかなりそうですが、淡々としたドキュメンタリーに近いものほど、演技の説得力が必要不可欠。外野の邪推をものともしないウニ役のパク・ジフの素晴らしさ。普遍的な日常を送るどこにでもいそうな女の子、さりげない視線や仕草にドキリとする。原石みっけ。

あの頃は友人関係が少し上手くいかないだけで、この世の終わりくらいに思ってた。家族、学校だけの狭いテリトリーのなかでぼんやりと明るい未来を想像してたような、、、。あ、わたしも、ウニと同じだ。
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