つるみん

はちどりのつるみんのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.9
〝正しい生き方とは?分かる気もするが、分からない〟

邦画や他のアジア映画などではよく見られる雰囲気だが、韓国映画でこのような雰囲気で進む作品というのは珍しい。邦画らしいといえば、真っ先にホン・サンス監督などがあがるが、これは新鋭キム・ボラ監督の今後が非常に気になるものであった。作風でいうとキム・ユンソクの『未成年』に近いものを感じたが、韓国映画でこの雰囲気作りは今ブームなの?

結論から言うと平均点ほどの魅力は感じとることが出来なかったが、心に染みる青春ものである事は間違いない。そしてあるワンシーンに関しては途轍もないことをやってのけたなという素晴らしい点があった。
淡々と進むストーリーの中にグサっとくる言葉が随所に散りばめられていて、日本人好みな映画である。

3兄弟の末っ子。親の興味は常に長男。学校に友達は居らず、彼氏のような存在と漢文塾が同じのお友達がいる。決して心から幸せな生活をしている訳ではないが、何だかんだ自分の人生ってこうだよねと満足はしている。そんな女子中学生を演じたのはパク・ジフさん。『太陽の末裔』のキム・ジウォン似の子で将来絶対に美人になる。
彼女の目がとても印象的で、目だけで喜怒哀楽を表現していて演技力の高さを見せつけられた。完璧。ハマり役。

そしてキム・ボラ監督。これが処女作というのにまず驚きで、94年の時代背景を入れ込みつつ、1人の少女の視点だけで世界を見つめる。多少ツッコミどころ(気になる点)は何か所かあったものの青春映画として見応え十分。前にも言ったが今後が楽しみ。

そして前述していた途轍もなく素晴らしいシーンについて。それは先生がウニにお茶を入れるシーン。親でもない誰かにお茶をを入れてもらったことはあるか?と自分に問いた時に、このシーンの凄みを感じた。
ウニにとって、このシーンは唯一、心を落ち着かせ先生に身を置いている描写がハッキリと分かるシーンでありつつ、観ている我々も唯一ホッコリできるシーンである。

きっと14歳のウニは先生に対して信頼は寄せただろうけど、この有り難みってのはまだこの時には気付いていない。ウニが先生の年くらいの大人になってから気付くものであって、またそれが後世に繰り返されればと思うとこれまたホッコリする。もしかしたら先生も誰かにされていたかもしれないし。
なんて素晴らしいシーンなんだ。



あ、あとポカリスウェットのTシャツなんてあるんだ(笑)