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はちどりのmanamiのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
5.0
本当に自然と涙が出てきた。永遠に終わらないで欲しかった。「一生懸命になること」「上を目指すこと」それ以上に大切なことってなんだろう。根付いた文化や自分の境遇を憂うことすらせずそれが「日常」だと思い込み怒りをあらわにすることを諦めた少女。淡く儚い温度で切り取られた彼女の日常は、いつも孤独と隣り合わせであり、傷つく事を避けてきたようなやり場のない鬱屈を持て余しているようなそんな感じだった。人は信頼を寄せれば裏切られるし、歩み寄れば逃げられる。人生はいつも孤独や死と隣り合わせなのに、日々に忙殺されたわたしたちはそのことに気がつく暇もないのかもしれない。理不尽を懐柔することに慣れ、怒るエネルギーすら放棄してしまった。だけど、いざ孤独や死と対峙した時自分を救い出せるのは自分しかいないんだと気がつく。自分のために怒れるのは自分しかいないのだと。時々心を覗いて、指を動かして、そうして自分を愛せるようになれば良い。自分を愛せるのもまた自分だ。
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