はちどりのnagashingのレビュー・感想・評価

韓国社会に根を張った複雑な抑圧の構造を透徹した視線で見すえる。絞りを開いた浅い被写界深度の画面は「現代映画でござい」感がして好きじゃないけど、多くのわかりえないものについて、同情せず、断罪せず、しかし容認もせずという倫理を貫徹するには、こういう映像美の余白に委ねるしかないのかも。かなり重要な「手」の撮り方が控えめなのがよかった。露骨に強調しない。でも、たとえばお見舞いに来たのがだれなのかは、手が映っただけでわかってしまう。そういうのが嬉しい。