えーーか

はちどりのえーーかのネタバレレビュー・内容・結末

はちどり(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

両親は店を切り盛りするのに忙しく、姉は親に隠れて彼氏と遊び歩き、兄は父からの過度な期待によるストレスからかウニを殴る。担任の先生は学歴主義で高圧的で、家でも学校でも所在なさげなウニ。物語の序盤、感情を殺したようなぼんやりとした表情だったウニが、ヨンジ先生に「何が好き?」と聞かれて「漫画を描くのが好き」と答えた瞬間、初めてウニという人物の輪郭がはっきり見えた。だからヨンジ先生のことが好きだったし、ヨンジ先生の存在は家族に話さなかったのかな。

キム・ボラ監督は社会で軽く扱われがちな女子中学生の視点でこの作品を撮ることにこだわったそうだけど、ウニの視点から1994年の韓国社会が垣間見える素晴らしい映画だった。

当時自分も女子中学生で、日本だと1995年に阪神大震災で高速道路が倒壊したり、地下鉄サリン事件が起きた。今思えば年齢的なこともあるけれど、そういった世の中の大きな出来事をきっかけに自分の身近な家庭や学校と、社会の繋がりを実感し始めたのかもしれない。

もっと言葉にしたいけれど、まずはもう少し誰かとこの映画について話をしてみたいと思う。