マ帆

はちどりのマ帆のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.3
"ひたすら淡々と描かれる" "けど傑作"という感想ばかり流れてきてたので何でこんなに観られてるんだろうと気になってた。実際観に行っても想像以上に淡々としたフロム中流階級の自伝だったけど 2時間ボロボロに泣いた。家に帰ってからも夜思い出してちょっと泣いた。確かにひたすら淡々と描かれる からこそ傑作。
こんなの人生じゃん ... 。

私が私を重ねたのは主人公ではなくそのお姉ちゃんだった。最近私がちょうど主人公と同じくらいの歳だった頃の家の中の空気に妹が感じていた事をポロッと言われた事があって、それが短い言葉なのに死ぬかと思うくらいグサっと来て、その頃を妹視点で観せられてるかの様だった。というのはただの自分語りなんだけど、きっと誰の人生にも重ねられる部分があるからこそここまで観られ、評価されてるんだろうな。光や焦点まであの頃自分が見てた世界そのままで まるでタイムスリップしてる様だった。

多感な時期、ただでさえ何も分からないのに、大人の事情や理不尽ばかりに抑えつけられて何かが溜まりしこりになっていくあの感覚。そんな世界でも必死に羽ばたこうとする世界でいちばん小さな鳥の物語。それでも "この世界が、気になった" というコピーが天才すぎて ...... 考えた人にボーナスをお支払いしたい ..... 。

あんな雰囲気を纏った先生に14歳の頃出会っていたら私も絶対に惹かれてた。顔を知っている人の中に心を知ってる人は何人いるのか、という授業がグッときた。

帰ってきてふいにレディバードを観返したくなった自分、めっちゃ分かる。説明感を限りなく薄くした若草物語、か、レディバード感あった。

淡々としてるとはいえFilmarksのあらすじは6〜7割くらいネタバレしてるのでダメです。
マ帆

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