はまたに

はちどりのはまたにのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.6
そのしこりを取るとずっと長く痕が残ることになるよ。下手すれば後遺症が残ることも。確率は低いけどね。そんなお話。

人それぞれ。それだけのお話。
家族も友達も恋人も優しい塾の先生も、それぞれの人生をそれぞれの考えと感覚で生きているだけ。だだ、人と人とは袖振り合うわけで、投げられた言葉や行為は私にとって、時に嬉しくもあり、時に裏切りにも感じられる。人生というのはどうやら後者の方が多いようで、いつしかそれはしこりとなって私の呼吸を阻むのだろう。

私が取った態度もまたそうに違いなく、殴られるとわかっていても傷つけずにはいられない人があり、苛立ちがある。また、突然の別れもある。さよならだけが人生だ、だなんて知らない。人知れず地団駄を踏むのは誰も私の心のうちを知らないから。私も誰の心のうちを知らなかったから。私が私をわからないから。言葉にできないから。病室での2人の秘め事は、先学期までのこと。

いつかうぶ毛が消えるように、こんな毎日も感情の機微も、記憶の靄に沈んでいくのだろう。しこりの記憶は、鏡を見れば。うぶ毛の記憶は、どこか彼方に。喜んでいいのか、悲しんだほうがいいのか。
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