great兄やん

天国にちがいないのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

天国にちがいない(2019年製作の映画)
4.5
【一言で言うと】
「観察する“皮肉”」

[あらすじ]
映画監督のエリア・スレイマンは故郷ナザレを後にし、新作映画の企画を売り込もうとパリとニューヨークを目指す。彼は最初に訪れたパリで、ルーヴル美術館やノートルダム大聖堂などに魅せられる。次の訪問先のニューヨークでは、友人のガエル・ガルシア・ベルナルに映画会社のプロューサーを紹介されるものの、スレイマンの企画はボツになってしまう...。

隣の“天国”は青いーー。

ぶっちゃけ好きか嫌いかで言うと、メチャクチャ好き。
でも、好きだと言える理由が見つからない分からない。
それでも何か引きつけて離さないこの感じ...
ハッキリ言って、こういったタイプの映画は何時間でも観ていたいタチなんです😏

とにかく全編における空気感というのがいい意味で緩くて、尚且つ全体的に昔の、それこそチャップリンやバスターキートンのサイレントコメディを観ているような雰囲気でした。

ただ個人的にはチャップリンよりもどことなくジャック・タチ作品に近しいものを感じます🤔
のんびりとしていて、どこかおとぼけな印象が伝わってくるといいますか...まぁ魅力を語れるほどタチ作品はそこまで観てませんし、ましてやチャップリンやキートンも今まで観たこと無いですし😅...いよいよこれは観ないとダメかもね(ー ー;)

それに一つ一つのシーンや風景の写し方がこれまた独特で、パリやニューヨークの街並みにポツンと一人で佇んでる構図がとても可愛らしい☺️
それから本作の主人公であるエリア・スレイマン監督から見える“何か”というのがいちいち面白おかしいというか滑稽というか...全体的になんとも言えないシュールさが纏わりついていました。

特にニューヨークに赴いた時に、銃社会のメタファーを思いっきり全面に出してたのがメッチャ笑いましたね🤣
タクシーのトランクからロケランが出てきた時にはもう心の中で(あぁ…好きだわこれ🤤)
と、思わず呟いてしまうほど。
その他パリでの“イス取り合戦”やニューヨークでの“中東の和平”だったりと、笑えなさそうで微妙に笑える、この絶妙な間合いがたまらなかったです😆

とにかく日常を切り取っているようでどこか“非日常”を感じる、オフビートな世界観を緩やかに堪能できる映画でした。

隣の芝生は青いとはよく言ったものだが、それは単なる“羨望”や“嫉妬”が勝っているだけで、実際はどこも同じ。
同じように悩みを抱え、同じように幸せを感じている。
だからこそ、世界は可笑しくて、愛おしいものだから...

パレスチナ問題とはよく聞いたものですが、これを機に調べてみるのも良いですね🤔