zoe

天国にちがいないのzoeのレビュー・感想・評価

天国にちがいない(2019年製作の映画)
3.6
エリア・スレイマン監督作品初鑑賞です。これもまた自分の勉強不足を痛感する作品でした。鑑賞後にいくつか解説を読んで、今作への理解は多少深まりましたが、パレスチナについての知識はないに等しいのでちゃんと学んでいきたいなと思います。ここ最近、意図せずにですが、このように身近には感じられない世界(私たち人間)が抱える社会問題をテーマにした映画作品を鑑賞していて、世界に自分の知らない物事や問題がどれほど多いかを痛感し、まだまだ知るべきことが沢山あるなと自分の未熟さに少しばかり肩を落としてしまいますが、それと同時に学ぶきっかけができて良かったなとも感じています。知識が追い付いた頃にまた観てみたいです。

作品の話に戻りますが、この映画の主人公であり監督のエリア・スレイマンは劇中であまり言葉を発しません。台詞は「パレスチナ人だ」「ナザレから来た」のみ。だけど表情は割りと豊かで、私が好きだったのは眉毛を上げて少し驚いたような、ぽけーっとしている感じの表情です。今にも何か言いそうな顔をするのに、何も言わない。そうして物語が進んで行きます。

お気に入りのシーンは、小さな鳥がスレイマンのパソコン作業を繰り返し邪魔するシーン。

ブラックユーモアがたっぷりな作品でした。彼がパレスチナ人だと知ったNYのタクシー運転手の反応や一般市民が皆んな銃を肩から下げているシーン、そしてパリの街中を戦車が走るシーンは特に。何を伝えたいのか分かりにくいシーンも多いのですが、それと同時に分かりやすいシーンも多いです。生活と常に隣り合わせにある危険を露骨に描いていて、大袈裟だという印象も受けますがそれは紛れもない事実。

“故郷とは”、考えても考えても自分の納得のいく答えはまだ見つかりません。
zoe

zoe