よどるふ

燃ゆる女の肖像のよどるふのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
3.7
初顔合わせの人物が、一度もこちらを振り返らずに海が見える崖まで歩いて行ってしまう。カメラは“追われる者”を背後から、“追う者”を正面から捉える。この奇妙な“振り返らない”シークエンスが映画が終わる頃には全く別のものに見えている。

“顔のない肖像画”を初めて見る際の時間の取り方や、暗い廊下に浮かび上がる白い服の女性など、所々に顔を覗かせるホラーの語り口が好み。徐々に完成していく絵画は別離までのタイムリミットを指し示すが、そのカウントダウンのリセットのさせ方も内容に即したものだった。
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