このレビューはネタバレを含みます
多くは語らず空気感で伝える。フランス映画の好きな所。生活音や雑音がこれほど活きている作品を他に観たことがない。
それに加えて視線の描き方。
家父長制というシステムの中で、女性はいつも男性から"女として適切か"という物質的な目線で観察されてきた。だからこそエロイーズは、対等だと思っていたマリアンヌから一方的に観察され、知らぬ間に肖像画という価値判断の記号に消化されていたことに絶望した。
しかしここから画家とお嬢様、更に召使いという女性達の支配関係が崩れていく様が本当に美しかった。あまり男女という単純な二元論で分別したくはないけれど、女性同士のコミュニティでしか共有できない関係性とか感情って確実に存在しているし、少なくともこの作品の中にはあった気がする。
「あなたが私を見るとき 私は?」この台詞が頭から離れません。