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燃ゆる女の肖像のhiのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.1
もうこのまま3人で暮らそう、きっと楽しいよ、と何度も思った。

絵ができていく過程を割とじっくり見せてくれたのが良かったな。パネルには最初に茶を塗るんだなとか、肌の色はさまざまなペールトーンで作っているんだなとか。
そして、本来のエロイーズの表情へと描き直された肖像画が完成する瞬間、満ち足りた瞬間のはずなのにやはり寂しい。
肖像画の完成はつまり“さよなら”なので。

険しい顔の多いエロイーズ、たまに片側の口角だけ上げて控えめに微笑む演技がすごくチャーミング。
観察されてるとは露知らず、あんな力強い瞳に真っ直ぐ見つめられ続けたら、それは情熱的なものとして意識しちゃうよね。
エロイーズとマリアンヌが、お互いの動揺や怒りから生じる癖を挙げていくところ、平等な立場の2人の心の距離が描かれており良かった。

お互いの肖像を秘めて持ち続ける2人、愛し愛されていたその証を、“さよなら”の後もずっと探し求めてしまう。胸が苦しいラストだった。
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