てんさん

燃ゆる女の肖像のてんさんのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
3.5
相手を観察する時に、”目”ほど指針になるものはないと考えさせてくれる。

「目は人の眼(まなこ)」と言うし、「恋は盲目」と言う。「目は口ほどに物を言う」と言うし、「目が笑っていない」という表現もある。

誰かと話す時、”目”から本当の気持ちを理解しようとする人は多いと思う。
少なくとも自分はそう。そしてマリアンヌもエロイーズもきっとそう。

僕たちはマリアンヌとエロイーズの”目”と”視線”を通して、彼女らの感情を思考する。
海辺でお互いの”目”を見つめ合う2人にはどんな葛藤が渦巻いていたんだろう。最後の2人の”視線”にはどんな想いが巡っていたんだろう。

別れが決まっているところからスタートする恋愛にはたしてハッピーエンドはあるんだろうか。
別れた後もその人を愛してよかったと2人は思っていたんだろうか。虚しく、哀しくならなかったんだろうか。

どんな終わり方をする恋愛にもきっと救いはあると願いたい。
どんなにつらくても、今後の人生においてわずかでも糧となることを祈りたい。

最後のシーンで”目”から零れ落ちる涙は、合わなかった”視線”は、良き思い出を振り返るハッピーエンドであったと信じたい。
てんさん

てんさん