フランスの移民問題を背景にしたサスペンス映画です。
パリ郊外、モンフェルメイユの街が舞台。
モンフェルメイユは、150年前に元祖「レミゼラブル」のジャンバルジャンが市長をやっていたところ。
主として、警察側の視点から、大暴動に至った1日の出来事が描かれます。
近年、モンフェルメイユは、低所得者や移民が多く暮らす犯罪地域と化していた。
この地域は、アフリカ系の移民が多い。
犯罪対策班の主人公は、着任したばかり。
モンフェルメイユの事情の分からない。
観客と同じように、混沌とした街の中に巻き込まれていく。
ある少年がイタズラ心から、サーカスのライオンの赤ちゃんを盗む。
その捜査の過程で、犯罪対策班の同僚が、ゴム弾を打って、街の少年を失神させる。
その姿をドローンで撮影されてしまった。
この映像が出回れば、その警官は懲罰もの。
住民の怒りをかって、大暴動が起きるかもしれない。
犯罪対策班の警官達は、映像が保存されたSDカードを血眼なって探す。
また、このデータをゲットして、警官を強請ろうとするグループも現れる。
追いつ追われつ、事態はあらぬ方向へ悪化の一途を辿る。
この動画がネットにアップされたことをきっかけに、暴動に発展していく…
『アテナ』は動画配信でしたけれど、今作は映画館で観ました。
すごい迫力!
冒頭で、ロシアワールドカップでフランスチームが優勝したシーンが挿入されてました。
移民をルーツとする選手が大半だったというのも、皮肉です。
この映画を最も象徴するシーンが刺さりました。
ライオンの子を盗んだ少年は捕まり、サーカスのライオンの前に引っ立てられる。
そこで、ライオンから脅かされ、失禁してしまう。
後でその少年は、怒りを持って暴動の最中に警官を殺す。
暴力で制圧し、脅して謝らせても、子どもは決して反省しない。
子どもの負の側面を増長させ、恨みを増幅させるだけ。
ラジ・リ監督自身がマリ系で、モンフェルメイユで育ち、実際に移民の大暴動を体験したとのこと。