しらすごはん

レ・ミゼラブルのしらすごはんのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
3.5
フランスの移民問題を背景にしたサスペンス映画です。

パリ郊外、モンフェルメイユの街が舞台。

モンフェルメイユは、150年前に元祖「レミゼラブル」のジャンバルジャンが市長をやっていたところ。

主として、警察側の視点から、大暴動に至った1日の出来事が描かれます。


近年、モンフェルメイユは、低所得者や移民が多く暮らす犯罪地域と化していた。

この地域は、アフリカ系の移民が多い。

犯罪対策班の主人公は、着任したばかり。

モンフェルメイユの事情の分からない。

観客と同じように、混沌とした街の中に巻き込まれていく。


ある少年がイタズラ心から、サーカスのライオンの赤ちゃんを盗む。

その捜査の過程で、犯罪対策班の同僚が、ゴム弾を打って、街の少年を失神させる。

その姿をドローンで撮影されてしまった。

この映像が出回れば、その警官は懲罰もの。

住民の怒りをかって、大暴動が起きるかもしれない。

犯罪対策班の警官達は、映像が保存されたSDカードを血眼なって探す。

また、このデータをゲットして、警官を強請ろうとするグループも現れる。

追いつ追われつ、事態はあらぬ方向へ悪化の一途を辿る。

この動画がネットにアップされたことをきっかけに、暴動に発展していく…


『アテナ』は動画配信でしたけれど、今作は映画館で観ました。

すごい迫力!

冒頭で、ロシアワールドカップでフランスチームが優勝したシーンが挿入されてました。

移民をルーツとする選手が大半だったというのも、皮肉です。


この映画を最も象徴するシーンが刺さりました。

ライオンの子を盗んだ少年は捕まり、サーカスのライオンの前に引っ立てられる。

そこで、ライオンから脅かされ、失禁してしまう。

後でその少年は、怒りを持って暴動の最中に警官を殺す。

暴力で制圧し、脅して謝らせても、子どもは決して反省しない。

子どもの負の側面を増長させ、恨みを増幅させるだけ。


ラジ・リ監督自身がマリ系で、モンフェルメイユで育ち、実際に移民の大暴動を体験したとのこと。
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