クリストファー

レ・ミゼラブルのクリストファーのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
3.8
前情報を何にも持たずに見に行ったので、より興味が尽きずにはまり込んでしまった。
ラストは手に汗握る、怒涛の展開。
2020年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネート。

舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。
ビクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』で、ジャン・バルジャンがコゼットをテナルディエ夫妻から救い出す町なんだそうだ。
現在のモンフェルメイユは、移民や低所得者が多く住み、犯罪多発地帯。

なので、選りすぐりの、荒くれ警官ばっかりあてがわれてる。

警官VS町の若者(子供)、アメリカ映画でよく見そうな描写なんだけど、アメリカと違うのは、ここの移民は、つい最近アフリカとかから移民してきている。
この作品に出てくる移民は、下手すると親はフランス語を話せないし、未だに、自国の文化の中で生きていたりする。

だから親はそう居心地が悪いわけでもないが、子供たちはフランスで育って、フランス文化の中で疎外感や貧困があって迫害される、という、境遇にいるので、親世代と子世代での感覚、認識の違いがある。
親はそんななので、子供の現状に向き合えてない場合も多く、子供野放しの印象。
だからもう、親に関係なく、子供がギャングみたいになっちゃってる。
サーカスの子ライオン盗んでインスタに上げちゃったりしてね。

で、地元警察に目を付けられていて、本人たちも、地元警察を敵だと思ってる。
この小競り合いの先に、ちょっとした地元警察側の間違いがあって、
子供ギャングVS地元警察の戦いが激化する。

もうその移民のコミュニティの大人たちなんか、ほぼ抑え込めない。
頼るものは同じ境遇の仲間と、力のみ。
本当に『仁義なき戦い』。
子供たちを抑え込んで一件落着?と思いきや、大人は全員猛反撃を食らう。

この作品を見て思ったのは、大人が子供を裏切っちゃ、絶対ダメなんだ、ということ。
大人が子供を裏切ったら、子供は次の世代を担う大人には育っていかない。
そうなるとさらに次の世代も豊かにならない、心も生活も荒廃した状態になってしまう。
負のループに陥ってしまう。
大人が大人としての責任を疎かにしたら、ずっと先の代までダメになる危険があるということを思って、ちょっとゾッとした。

やっぱり大人が広い視野で物事を考え、自分を律しないと、子供に道を示すことはできないし、大事なことを教えることはできない。
とにかく、子供を裏切っちゃだめだ。
その子のためにも、その地域やその国の未来のためにも。
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