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家族を想うときのKのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
3.0
不揃いな歯並び。生活保護はプライドが許さない。お年頃とはいえ息子の態度はよくない。一体何を見て育ち、何に期待しているのか。殴ったところで何も解決しないけれど、誰も手をあげないのが偉いと何度か感じた。不器用なところはある。自己責任と言ってしまえばそれまで。主人公は人間として間違ったことはしていないし、よく働いている。石川啄木の短歌を思い出す「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」。ゼロ時間契約。ここで描かれる物語は他人事でない。苦しい描写の連続。山あり谷ありと言うよりはほとんど谷。この主人公と同じ生活をしていたら映画に使う時間もお金もないだろう。見るのは誰か。ある意味そこがポイントなのかもしれない。家族・結婚・子どもが負担になる社会は悲しい。命より大切な仕事など存在しない。問題提起としては刺さる。映画としては好きと言えない一本だった。
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