Shin

家族を想うときのShinのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.2
社会から追いつめられた弱者の視点から描くケン・ローチ監督のヒューマンドラマ。引退を撤回しての本領発揮です。

主役となる家族4人のキャスティングはオーディションで選んだということですが。
父親リッキー役のクリス・ヒッチェンは40歳過ぎてから演技の道に入り。
母親アビー役のデビー・ハニウッドはTVシリーズの端役のみで、映画は初出演。
子供二人も映画は初めてということ。
いったいどうやって、こんな素晴らしい演技を引き出したんでしょうか。

夫婦が家族の為に精一杯働いているのに、暮らしは良くならず、家族で過ごす時間が奪われ、家庭問題へと繋がっていく様には、胸が締めつけられます。

個人的には明日もせっせと働かなければならない自分のような低所得者に向けても、もっと希望の持てる展開があってもよさそうですが。ケン・ローチ監督はそれを良しとはしません。

彼らを苦しめているのは、実は観ている私たち自身でもあるのではないかと問いかけられます。
やれ、サイバーマンデーセールだと、うかれてクリック1つで簡単に買い物をしてはいないか。(すみません、安さにつられコートやスニーカーなど買いました)

便利な生活と効率のよい社会を追求するあまり、大切なものを失っていく現代の我々への警告に、ヒリヒリとしたうずきが治まりません。
Shin

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