shinefilm

家族を想うときのshinefilmのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
-
映画で世界を変えられるなんて幻想は抱いてない。映画はひとつの声に過ぎないと思うから。それでも声を上げ続けることが大切なんだー2003年のケンローチのインタビューの言葉です。デビューから一貫して労働者階級の人々の声を映画を通して描き続けてきた83歳ケンローチの新作はまたしても素晴らしかった…。ケンローチが一貫して叫び続ける事は非人道的な行為に対してだ。システマチックに、スピーディにボタンひとつで荷物が届く昨今。勿論自分だって活用してます。時間通り確実に荷物が届くその完全なシステムの中で働くのは非完全な人間である。機械化されゆく労働の中で、その矛盾に満ちたシステムからはみ出て働かなざるを得ない父親と母親。その姿を見つめる思春期の息子と幼い娘。以前のように戻りたいーその切実な家族全員の祈りはどこへ行くのか。ケンは問う。人間の尊厳が失われる瞬間に映画を通して声を上げる。 この物語の続きは僕たちに手渡されたままなのだ。
shinefilm

shinefilm