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家族を想うときのmoのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.5

『私たちがやらねばならないことはひとつ。耐えられないことがあれば、変えること。今こそ変化の時だ(ケン・ローチ)』


今年で84歳になる英国の巨匠ケン・ローチ監督が、一度は引退を宣言するも、それを撤回してまで世に送り出した社会派ドラマ。
前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』で貧困と福祉の煩雑さを描いた監督が、本作では新自由主義経済下での英国の"働き方問題"を浮き彫りにする。


誰が悪いわけでもないのに、想い合う家族が少しずつすれ違っていく。
その過程が痛いくらいリアルに、すぐ隣に存在するような空気感で伝わってくる。
長きにわたり社会問題に向き合って、声なき声を代弁してきたケン・ローチ監督だからこそつくれる映画だと思った。


日本でも新自由主義化が進む中、コロナ渦によってその危うさが露呈するっていうのは良かったのか悪かったのか…
"変えられない"に甘えていてはダメだと思った。
変えようと思うこともしなければ、事態は本当に悪化していくだけだ。
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