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リトル・ジョーのKotaのレビュー・感想・評価

リトル・ジョー(2019年製作の映画)
3.8
“僕たちじゃない、おかしいのは君だよ。”

[2019年カンヌ国際映画祭女優賞]植物学者のアリス(エミリー・ビーチャム)は生命力の強い花を生み出し、それをリトル・ジョーと名付ける。しかしリトル・ジョーが開花した後、同僚のクリス(ベン・ウィショー)や息子のジョーが何かおかしい事に気づく。

“花が開花する“だけのシーンがここまで気持ち悪くてトリハダが立つのは、その絶妙な撮り方やコンテクストの賜物。ロングショットや横移動のパンショットで映されるリトル・ジョーは美しくも奇妙で恐ろしい。女優賞を取ってるビーチャムだけど、個人的にはベン・ウィショーのサイコ感の方が印象的。

カメラワークが逸脱で、敢えて会話しているのに相手しか写さない、画面から被写体がはみ出てもカメラが追って行かない、何故か壁にズームしていく、などの変わった撮り方が観客も“花“に侵された様な不思議な気分にさせる。音楽が全編通して初詣の尺八なのが日本人的には笑ってしまう所ではあったけど(笑)。
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