旅するランナー

リトル・ジョーの旅するランナーのレビュー・感想・評価

リトル・ジョー(2019年製作の映画)
4.3
【マスク着用しながら観るべき映画】

遺伝子操作で香りを嗅ぐとハッピーになるよう作られた新種の花リトル・ジョー。
ところが、その花粉を吸い混んだ人間が、いつもとどこか違う感じになって...

幸福とは何か、家族とは何か、何のために働くのか、同調圧力は本当に息苦しいのか...
コロナとの共生時代の日本で、マスクしながら見るのにうってつけの、ちょっぴりホラー作品です。

しかも、流れる音楽が、日本人作曲家伊藤貞司さん(1935-1982年)による、尺八・太鼓などを使ったお囃子チックなもの。
これが、シックなオシャレ感漂わす研究者エミリー・ビーチャム(第72回カンヌ国際映画祭女優賞受賞)に合わないようで、絶妙に合うんです。
この雰囲気が、怖くないホラーを作り上げているんだと思います。

それにしても、欧州の方々には、やっぱり日本は変な国に見えるんだろうな...
年中マスクして、日傘指して、美白にこだわって...
そして、この作品のオチからいくと、日本人は未だにエコノミック・アニマルなワーカホリック国民と思われているんじゃないかと、ホラーに感じます。