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マティアス&マキシムのyaekoのネタバレレビュー・内容・結末

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます


想像でしかないけれど、なにかの瞬間に、なにかの拍子に、今まで縁遠いと思っていた、知らなかった感情に出会うことも、人生ではあるんだろうな。

葛藤とか戸惑いとか、どうしようもない愛おしさとか、そういう感情の揺らぎが丁寧に描かれていて、自分もそんな感情たちと一緒に旅する2時間だった。

エンディングが近づくに連れてえ、え、ねぇどうするの、どうなるの、っていう焦ったさがたまらなかった。
渡されない紹介状のことが分かった時、行かないでの5文字が浮かんで、それもうマティアスからの答えじゃんって思って、
からの、
なにあのラスト、ドアを開けたあの瞬間、全ての悩みは飛んでいく。

これまで観たドラン作品の音楽や映像がビビットだとしたら、今回はパステルな印象を受けた。
でも、毎回、観たことのない映像美に出会えて、ああこんな表現も出来るんだって、その引き出しの多さに驚かされるのは変わらない。
今回だと、家の中でキスするマティアスとマキシムを、雨が降る外から撮っているシーンとか。重なり合った手がとても印象的だった。

道路の真ん中によくあるあの白線とか黄線だって、彼の手にかかれば、時間の感覚というものをとても意識させられるようで、やっぱり彼のセンスというものに、溜め息をつくばかりです。

それにしても、思いもよらなかった感情に振り回されるマティアスとマキシムのことだけかと思いきや、やっぱり母親との描写がちゃんと出てくるあたり、そこにもドランらしさを感じたよ。
きっともうこれは彼のテーマとして、今後の作品にもずっと出てくるのんじゃないかなって思うので、追い続けていきたい。
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