Sasada

マティアス&マキシムのSasadaのレビュー・感想・評価

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
4.0
いじらしく、美しく、どこか懐かしい。

罰ゲームで参加させられた映画撮影でのキスをきっかけに、男友達との関係が変化するお話。

彼らがそれに気づく瞬間はマティアスが赤/マキシムが青を纏い、それ以外はマティアスが青/マキシムが赤。
“その瞬間”だけ日常から反転するスタイリングが印象的。

マティアスがマキシムへと向ける視線は、ヘテロセクシャルとして生きてきた自分の根幹を揺るがしかねない。マッチョな仕事仲間と思わず比較し、自らの孤独を知る。

マキシムもマティアスへ抱く愛情に戸惑い、マティアスの反発を静かに見つめる。弟が妻を持ち家庭を築く一方で、毒親の世話でいっぱいいっぱいな側面も。

「好きな子に意地悪しちゃうマティアス」が純粋で可愛くて、ある種“平凡な”映画とも言えるのだけれど。

見る人と見つめられる人の対比、2人の孤独を描く序盤のキッチンと終盤のすりガラス越しのショット。自分の感情のぶれに気づいたマティアスが湖を泳ぐシークエンス。
全編を通じて美しくて見入ってしまうし、彼らの仲間との関係も最高。

ラストも含め、かなり爽やかで暖かい映画でした。
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