manami

マティアス&マキシムのmanamiのレビュー・感想・評価

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
3.9
恋と友情の狭間、例えば高校生の時、友人と下着屋さんに行って同じ試着室でお互いの下着のホックを留めあってクスクスしていた時のあの感情のような?狭い空間でわたしたちの気持ちだけが宙に浮かんでいたあの時のような?その気持ちは衝動的で不確かで一過性のもの。それに名前をつけることは到底できない。けれどわたしたちはいつだってその関係に名前をつけたがる。恐らく、枠づけされた形にはめ込み、誰かがつけた名前で呼ぶことによってより確かに存在を感じとることができるから。愛、とか恋、とか友情、とか。ではその定義づけされた枠を超えた形の場合は?ドランが描く作品の、一般的に、とか大衆的な、とかそういうものに囚われない関係性が好き。思えば、ドラン作品を映画館で観るのは初めてだった。girl in redのWe Fell in Love in Octoberを聴いていたら、急にマイ・マザーがみたくなった。真っ赤に染まった木々の間を走るウェディングドレス姿の彼女をみてCrystal CastlesのTell Me What To Swallowを聴いた。そんな風にふとドランの息遣いを感じたくなった。気がつけばもう秋。
manami

manami