優しいアロエ

アトランティックスの優しいアロエのレビュー・感想・評価

アトランティックス(2019年製作の映画)
3.6
 今年のカンヌ国際映画祭で『パラサイト 半地下の家族』の次点についたセネガル発の恋愛ファンタジー。

 アフリカ大陸西岸に位置するセネガル。下級労働者の若者たちは、大西洋のはるか先へと希望を見る。

 不法移民として国外へと逃げた男性たちと、国に残され望まぬ結婚を強いられる女性たち。セネガルの社会問題を両面から捉え、そのどちらも決して幸せなものではないことを示唆している。

 中盤からは、ホラーの様相を帯びるから驚いた。あれはそのまま「憑依」的なものとして捉えてもいいのだが、どちらかと言えば残された女性の捌け口のない思いをホラーとして昇華したもののように思える。

 セネガルはおろか、アフリカ映画というのを多分はじめて観たが、一本目からこんなにも詩的な作風のものに出会うとは思わなかった。こういったローカルな作品に出会えるのもNetflixのおかげかもしれない。
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