ころころもん

鵞鳥湖の夜のころころもんのレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
3.7
中国第7世代のノワール映画。監督がサイレント映画こそ映画芸術の真髄だと考えているようにセリフがなく映像だけで物語るシーンが多かった。

照明監督がウォン・カーウァイ作品をしてた事もある人らしくて暗いシーンが多いが、光るバイク・光る靴・ネオン街と綺麗で独特なシーンが多い。

水浴嬢や記念撮影など馴染みのない文化に触れることができる。第7世代の中国の監督たちは変化がめまぐるしい「今の中国」を撮っている事が特徴の一つであり、この映画も観ているだけで異国としての中国を存分に堪能することができた。

動物園でのトラの顔のアップやビニール傘の使い方だったりユーモアを感じさせるシーンも多い。回想して物語るサスペンスフルな語り口もわかりやすいし、アクションシーンも多い。比較して、前作『薄氷の殺人』よりもエンタメ要素は高め。

前作の監督のインタビューで「国の要請でエンタメ要素を強くするため長回しが好きだけど使わずカットを割るようにした。」って言っていたのを思い出す。いい具合に両立を目指して行こうとしているので好感が持てる。

そして、タレを雑にかけたワンタンも貪り食う牛肉麺はすごくうまそうだった。