Junichi

その手に触れるまでのJunichiのレビュー・感想・評価

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
4.0
「相手のことを考えた発言は初めてね。いい変化よ。」

【撮影】9
【演出】8
【脚本】8
【音楽】8
【思想】7

『シン・ヱヴァンゲリヲン』
イスラム教原理主義者版
農業体験の療育的効果が描かれるも
主人公にはあまり…

宗教に限らず学問にも
原理主義者はいるもので
思春期特有の融通のきかなさと
やはり相性がよいようです

グレーゾーンを認められず
物事を常に白か黒か(正義か悪か)で判断する
本人が真面目であるだけに
そのことを正しいこと(正義)だと思い込む
本人も周囲の人も幸せにしない思想

小中高そして大学でも
知識としてではなく
信仰の実践的な体験として
各宗教を比較することで客観視して
学ぶ時間は大切だと考えています

イスラム教原理主義者は
『コーラン』を
マホメットが生きていた当時の歴史的・地理的文脈を無視して読む人たちのこと
文脈無視という悪しき普遍化・一般化

外敵に対して聖戦を挑むのは
現代の国際社会とは相容れないもの
そして本作品でも描かれますが
戦に駆り立てられるのは常に若者

イスラム教は多様性を受け入れる
寛容の宗教だと考えています
いやそもそもどんな宗教も
人間の生の多様性を受け入れるものです

本作品で
解決の一端が描かれるのかと思って期待していましたが
唐突な幕切れ
碇シンジ君がパニックになり暴走して
自分すら傷つけて
やっと大人しくなる
あの感じです(笑)

【大人しくなること】と
【大人になること】は違うのに

相手と自分を赦すための発端として
本作品オススメです
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