柏エシディシ

その手に触れるまでの柏エシディシのネタバレレビュー・内容・結末

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ダルデンヌ兄弟の新作。
狂信的な思想に捉われ恩人の女性教師の殺傷を図る少年。
いつもの自然主義的な淡々とした静かな語り口で、凡百の冗舌に過ぎる映画より力強い映画を作るダルデンヌ兄弟。
引き込まれる。

近年は暗い現実の中にも一筋の光の様なものを照らす様な作品の方が多かったし、本作の結末はその様な印象がするかもしれない。
それでも、本作の「絶望感」は抗い難い。

母親の愛情や、ベルギーの手厚い公共支援、そして初恋の力ですらも、彼の心を変えるに到らない。
あの「アクシンデント」が無かったならば、彼の転心はあり得たのだろうか……

傑作「少年と自転車」への自己批評の様にも受け取れる。
現実は映画の様には上手くはいかない。
それでもどうするかは貴方達の手に委ねられている。そういつもダルデンヌ兄弟はスクリーンの向こうからこちらに問いかけてくる。
柏エシディシ

柏エシディシ