ダルデンヌ兄弟ですわー。
被写体を捉え続けるカメラ。ひたすらにその主人公アメッドの背景としてしか存在しない街であり部屋であり。
例えば彼らの他の作品、イゴールやロゼッタやシリルたちには感情の揺らぎが見えます。
しかし今回のアメッドは13歳とは言え、この信じ切っている人間の狂気。なんと恐ろしいのでしょうか。
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ベルギーの状況にさほど明るいわけじゃないんですが、イスラム教徒はかなり多い傾向があるんですね。それは移民を受け入れたということでしょう。必ずしもみんな貧困であるというわけじゃなく、むしろ裕福だったり。
映画に出てくる彼らのミーティングはとても興味深かったです。地域に順応することも大事。またお祈りだけじゃなくアラビア語を伝えていこうという考え方と、コーラン至上主義。宗教のありようは様々です。
原理主義の危うさに、いったい社会はどう対応していけばいいんでしょうね。
子供のうちに心酔するとこうなる。
危険なのはイスラム教だからということじゃなく、キリスト原理主義もそうだし、KKKや各国の極端な民族主義も同様。
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一見穏やかな風で、突然神を背景に暴力的な側面が現れる。
正直言って最後の彼のセリフが理解できない。
彼を信じられない。
嘘を吐いているとしか思えない。
・・自分の中に偏見がないわけじゃない。思考と理性で押し込めているだけ。それが今少し頭をもたげている。
ダルデンヌ兄弟はこんな状態を予見していたのかな?